再エネ直接調達がもたらす小売事業への影響

5月16日の日経新聞朝刊一面に「再生エネ直接調達拡大 企業、小売り介さず割安に」という記事が掲載されていました。

これまでは離れた発電所から電力を購入するには小売電気事業者を介さなければならなかったのですが、夏までに電気事業法の省令を改正し、自社グループと関係のない発電事業者からも直接購入ができる仕組みを整えるとのことです。

これにより、企業は再エネ電力の調達においてコスト減になると記事にはありましたが、それ以上に影響があるのは小売事業者のビジネスモデルではないかと思います。

今後、工場やオフィスビル、商業施設を保有する事業者は否が応でも再エネ電力を必要とします。当然ながら、それらの事業者はコストを下げるため、小売事業者を介せず再エネ電力を発電事業者から購入するようになると思われます。

つまり、「特別高圧」「高圧」といった法人の需要家は小売事業者を必要としなくなるということです。

そうなると小売事業者に残される事業領域は、必然的に一般家庭や商店、小規模の事業所などの「低圧」の需要家になるでしょう。

それでも、小売事業者にビジネスの可能性はあると思います。

それは自家消費型のPPA(電力販売契約)モデルです。なぜなら、このPPAモデルは地域に密着した事業者でなければきめ細やかな対応ができないからです。

小売事業者の活路はそこにあり、地域電力会社として小売電気事業を行いたいのであれば、自家消費型のPPAモデルまで射程に入れるべきです。

さもなければ、小売電気事業への参入は見送った方がいいでしょう。

(追記)

これまでも、再エネ電力を売るために小売電気事業者に参入したいという事業者さんから相談を受けてきました。そのたびに、小売事業のためのお金と時間があったら、再エネ電源(発電所)を一つでも増やした方がいいとアドバイスしてきました。

それは、これからは再エネ電源が足りず、奪い合いになるので、再エネ電源を保有する方が有利にだからです。

脱化石燃料を目指せる地域(湯沢市秋ノ宮温泉郷)

秋田県湯沢市、秋ノ宮温泉郷。
ここに住む人々は温泉組合をつくり、各世帯に温泉が引いているとのこと。
お風呂は24時間、自宅で温泉に浸かれるほか、泉質が硫黄泉などと異なるため、台所、洗面所などのお湯もこの温泉を使用しているという。
温泉組合への負担金は月々数千円だそうで、これを高いとみるか安いとみるか。
なお、多聞に漏れず過疎化が進んでいて、利用者が減少すれば、負担金もその分高くなるとのこと。

毎日自宅で温泉に入れるとは、なんと羨ましいこと。
仮に、熱交換器を使って床暖房を導入すれば、冬の暖房費もかなり節約できるだろう。

湯沢市は地熱資源が豊富で、日本で数少ない持続可能なエネルギーで賄える地域。
これを利用しないのはもったいない。

すでに、大規模な地熱発電が2カ所も作られているが、さらに数カ所調査がされている。
この地熱を最大限利活用すれば、「消滅可能性都市」ではなくなるだけでなく、かなり「豊かな」地域になるのは間違いない。

(写真は、温泉を汲み上げ、各家庭に分配する機器。住民が管理しているとのこと)

八木バイオエコロジーセンターを視察

先月、京都府南丹市にあります八木バイオエコロジーセンターを視察してきました。

近くの酪農家から出される牛の糞尿、食品工場からでるおからなどを用いてバイオガス発電と液肥の生成を行っている施設です。

バイオガスプラントの詳しい説明はここでは省きますが、印象に残ったのは北海道の同様のプラントと異なり、液肥をすべて使い切れず、河川へ放流するために年間3000万円も薬剤費がかかっているということ。

このプラントは年間2000万円を自治体から補助金として受け取って収支均衡しているらしく、もし液肥がすべて活用されればこの補助金が不要になるのになあ、と思いました。

地域を巻き込み、関係当事者と連携がきちんと取れれば、本州でもバイオガスプラントの可能性があるのではと思った視察でした。

洲本市(淡路島)「竹資源エネルギー活用」視察

先月、日本木質バイオマスエネルギー協会が主催する「竹資源エネルギー活用」バイオマスツアーに参加しました。

淡路島において放置竹林が拡大している問題を何とかしようということで、「あわじ竹資源エネルギー化5か年計画」が2014年9月に兵庫県で策定され、竹チップを燃料として毎年500トン消費することを目指すプロジェクトの視察です。

竹チップボイラーの開発から取り組み、小型、中型ボイラーで試験的に運用し、現在は洲本市の温浴施設に大型ボイラーを設置し、年間150トン(竹林5ha相当)を消費するところまで来ているそうです。

竹をエネルギーにしにくい原因はいくつかあります。第1に、バイオマスボイラー先進地の欧州では竹が生育せず、ボイラーを日本で新たなに開発しなければならないという問題です。重油の方が手軽で取り扱いやすく重油ボイラーが一般的で、竹をエネルギー源としてこなかった歴史も影響していると思います。

次に、ボイラーを開発しても竹にはケイ素、カリウム、塩素分が多く含まれ、燃焼後にクリンカと呼ばれる固形物ができ燃焼炉を傷めやすいという問題があります。これに対して、前述の温浴施設のボイラーではクリンカが生成される温度以上にならないように調整しているそうです。

第3に、重油とのコスト比較の問題です。熱量としては、重油1ℓと竹2㎏がほぼ同じということで、竹チップの活用が進むには重油より安くなければならず、重油の価格に左右されます。

最後に、各当事者の連携が不可欠なことです。竹チップの消費者がいたとしても、竹自体を切り出す人、切り出した竹を運搬する人、そして竹を竹チップに加工する人が必要になります。竹チップを製造する杉本林業さんにお話をうかがいましたが、まだまだ採算は取れない状況で、それでも杉本林業さんは竹を使って地場産業としてどうにかできないかという思いで取り組んでいるそうです。

切り出した竹1㎏あたりの値段は、工場まで持ち込んで10円、杉本林業さんが現場まで受け取りに行って5円。ちなみに写真(添付)の一区画が約1トンだそうで、何はともあれ竹を山から切り出してくるのが一番大変と言っていました。土地の所有者が異なる中で広がる竹林であればなおさらです。

以前、酪農家のバイオガスプラントも視察したことがありますが、その時も専門の方からバイオガスプラントは「合意形成ビジネス」と言われたことを思い出しました。同様に、竹をエネルギー資源として活用する場合も、地域の合意形成なくしてできないビジネスと感じました。

【ブログ】 ソーラーシェアリングが普及するうえで気になること

7月14日に小田原市で開催されました「全国ソーラーシェアリングサミット2018」に参加してまいりました。今年5月に、ソーラーシェアリングの一時転用期間が3年から10年に延長されたため、盛り上がりを見せています。
個人的にもソーラーシェアリングは全国に広がってほしいのですが、気になったことは以下のとおりです。

①ソーラーシェアリングは太陽光パネルの下の農地では営農することが条件です。
ただ、農産物の収入より売電収入の方が高いのが現状で、農業が疎かになりはしないか。また、ソーラーシェアリングをやりやすい作物ばかりが作付けされ、消費者が必要とする農産物が生産されなくなるのではないか、気になります。

②ソーラーシェアリングをやりたいと思う農家さんがいても、電力会社が接続してくれるかどうか。
すでに、東京電力、中部電力、関西電力管内を除き「出力制御枠」に達しています。接続できたとしても、発電した電力をすべて買い取ってくれない可能性がある地域に農地がたくさんあるように思います。

③現在の産業用太陽光発電の買取価格は18円となっていますが、この価格で採算が取れるソーラーシェアリングを作れるかどうか。

④ソーラーシェアリングをやりたいという農家に対して金融機関が前向きに融資をしてくれるのか。

などと思いつつ、帰ってきました。

【ブログ】 仮想通貨交換業が金融商品取引法の範疇に?

7月3日、産経新聞で仮想通貨交換業者を規律する法律を改正資金決済法から金融商品取引法へ移行することを検討していると報じられました。ただし、当の金融庁は検討の事実を否定しているらしいです。事実、産経新聞以外のマスコミも後追い報道はしていません。

その伏線はおそらく6月22日に正式に登録されていた仮想通貨交換業者(計6社)に業務改善命令が出されたことにあると考えます。これで3月から数えて、登録業者16社中7社へ処分を行ったことになります。

日頃から金融商品取引業者のサポートをしている弊社からみると、今回仮想通貨交換業者に出された処分の指摘事項は、金融機関では当然やっていることと思われるものばかりに感じました。

逆に言うと、杜撰な体制のまま、みなし登録とせず正式な登録としてしまった金融庁にも問題があったとも言えるかもしれません。

そのため、現在の資金決済法ではなく、より金融商品取引業者に近い形で監督できる金融商品取引法に取り込もうとするのも理解できることではあります。

確かに、仮想通貨それ自体をみれば取引所はあるものの決済手段として性格が強いので、現時点では資金決済法で規律されていますが、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)により発行されるトークンは資金調達の性格が強く、そのトークンの中味によっては金融商品に近くなりますので金融商品取引法での規律が良いようにも思われます。

金融商品取引法だから厳しい、資金決済法だから厳しくないとかいうことはなく、結局は仮想通貨の事業の実態に合わせて規制は決められるので、産業の発展を妨げず、かつ投資家保護にも十分な規制がいずれにしろ仮想通貨交換業にも必要になるでしょう。また、仮想通貨に対するデリバティブも登場するでしょうから、金融商品取引法が絡んでくるのも時間の問題だと思います。

ただ、このあたりの規制を早くはっきりさせないと、参入したい事業者も参入できず、業界の発展が阻害されるのは間違いないです。

もし、皆さまの中で近い将来、仮想通貨交換業その他仮想通貨関連のビジネスへの参入にご関心がありましたら、資金決済法だけで考えるのではなく、金融商品取引法の規制を射程にいれておくことをお勧めします。

なお、仮想通貨交換業が資金決済法ではなく金融商品取引法で扱われた場合、具体的にどのようになりそうかについては、日をあらためて書きたいと思っています。

 

【ブログ】 ソーシャルレンディングの匿名性撤廃で起こる変化

6月15日に閣議決定された内閣府の「規制改革実施計画」において、ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)に関する規制改革が取り上げられていました。

どういう内容かというと、これまでソーシャルレンディングを行うにあたり貸付先の匿名化・複数化を必須としてきたものを、貸付先を開示できるようにするというものです。さらに、この規制の変更について、平成30年度中に検討し、結論を出し実施するところまで明記されています。

弊社が第二種金融商品取引業者の相談に乗りサポートするにあたって、この問題については貸付先を開示できるようにした方がいいと常々思っていました。なぜなら、投資家にとってみれば自分のお金がどこに貸し付けられるか、知りたいまたは選びたいだろうし、さらには貸付先が明らかになっていないと十分にリスク判断ができないと思っていたからです。

おそらくこのような規制改革の動きになったのは、この匿名性を悪用した業者が昨年出てきたからだと思います。言ってしまえば、投資家が貸金業を営んでいないようにするための規制が、投資家を害する方向で働いてしまったわけです。

今回の規制改革により、ソーシャルレンディング業界が良くなって欲しいと思っています。

ただ、意外とこの貸付先の開示により、借りていることを知られたくない事業者はソーシャルレンディング事業者からの融資を利用しなくなる可能性もあるかなとも思います。すわなち、投資家が投資できる案件が減る可能性です。

規制改革の具体的内容が出ないとどのようになるかわかりませんので、それを待ちたいと思います。

(参考)規制改革実施計画

http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/180615/keikaku.pdf

【ブログ】 鹿児島県の小水力発電を視察し感じたこと

先日、鹿児島県の日置市にある小水力発電を見に行ってきました。
発電所として成り立つためには流量と落差が大事なのですが、この規模で実現できるとすれば日本各地のいろんな川でもできそうに思えます。
具体的な数値は控えますが、もう少し工夫を凝らしたり、造成が少なくて済む土地であればさらにコストダウンできる可能性があることも教えていただきました。
水力発電は水利権などが関係してきますので地域住民の方が主体になる方がやりやすいと思います。
水資源が近くにある方は一度検討してみてはいかがでしょうか。